普段、カルミン&タール色素不使用コスメをご紹介している当ブログですが、
最近「色素の原料」や「アレルギー」についての質問も多く、
今回は、
カルミン&合成着色料にまつわる疑問を徹底調査
させて頂きました!
こんにちは、作曲家の逸@itsu_guitaristです。
安全性への考えは人それぞれです。
今回はわたしが安全or安全でないと明言するのではなく、
- 原料
- 製造方法
- 危険性が指摘されたきっかけ
など事実・現状をお伝えすることで、
読者の皆さんが「使うor使わない」の判断をして頂く材料になればと思い記事にしました。
ぜひこの記事を参考にして頂き、
安心&納得して過ごせるビューティーライフをお過ごしください!
目次から好きなところへジャンプしてね!
カルミン・タール色素とは?
カルミンもタール色素も、
日本で食品・医薬品・化粧品に使用が認められた着色料です。
●コチニール色素(カルミン)
→「エンジムシ」から得られたカルミン酸を主成分とする着色料のこと。
原料:カイガラムシ科エンジムシの乾燥体
製法:乾燥させたエンジムシから、温水・熱水などで色素を抽出
●合成着色料(タール色素)
→「石油製品」を化学的に合成した着色料のこと。
原料:石油製品
製法:石油精製の際に得られるナフサなどを原料に化学合成によって製造
次章からはそれぞれもっと詳しく見ていきます。
カルミンについて知りたい方は→こちら
合成着色料(タール色素)については→こちら
好きな方から読んでね!
カルミンについて
カルミンアレルギーとは?
コチニール色素(カルミン)は、
消費者庁が「アナフィラキシーを起こす可能性がある」と注意喚起をしている色素です。
現在までに、
- かゆみ
- じんましん
- 発疹
- 呼吸困難等
などのアレルギー症状が報告がされていて、
赤い色素を含む「化粧品」でかゆみを覚えていた女性が、
コチニール色素を含む「食品」を摂取したところ、
呼吸困難を伴う重篤なアレルギー反応が出たという事例も報告されています。
カルミンを見分けるには?
コチニール色素(カルミン)は、
- 化粧品(アイシャドウ、口紅、チークなど)
- 医薬品
- 医薬部外品
- 食品(清涼飲料水、菓子、ハム、かまぼこなど)
で使用されているものがあり、
消費者庁では、
コチニール色素が原因だと疑われる場合には、
以下を参考にコチニール色素を含む製品の使用や摂取を避けるよう指示しています。
〈コチニール色素の表示名〉
●医薬品、医薬部外品、化粧品
コチニール、カルミン、カルミン・コンジョウ被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン
●食品
コチニール色素、カルミン酸色素、着色料(コチニール)、着色料(カルミン)
日本の化粧品は、
ほとんど「カルミン」と表記されているよ。
もちろんこれは日本製品の表示名です。
海外コスメでは、
「carmine」または「carmine (ci 75470)」と表記され、
英サイトを自動翻訳すると「カーマイン」と表示されることもあります。
タール色素について
タール色素、合成着色料、どっち?
合成着色料は以前コールタールが原料になっていたこともあり、
タール色素と呼ばれることがあります。
現在では石油製品が主原料なので、
合成着色料と呼んであげたい気もしますが、
コスメブランド側が「タール色素不使用」と表記する場合もあり、
広く使われる言葉でもあります。
コスメを探す上では便利な言葉だね。
また日本で食品に使用できる合成着色料は「食用タール色素」と命名されています。
〈食用タール色素(12種類)〉
- 食用赤色2号及びそのアルミニウムレーキ
- 食用赤色3号及びそのアルミニウムレーキ
- 食用赤色40号及びそのアルミニウムレーキ
- 食用赤色102号
- 食用赤色104号
- 食用赤色105号
- 食用赤色106号
- 食用黄色4号及びそのアルミニウムレーキ
- 食用黄色5号及びそのアルミニウムレーキ
- 食用緑色3号及びそのアルミニウムレーキ
- 食用青色1号及びそのアルミニウムレーキ
- 食用青色2号及びそのアルミニウムレーキ
食用タール色素は、
食品衛生法第12条に基づき、厚生労働大臣が使用してよいと定めた食品添加物(指定添加物)です。
純度や成分の規格、使用できる量などの基準が定められているよ。
参考:厚生労働省 食品添加物 添加物のリスト等,厚生労働省 よくある質問(消費者向け)
ただし化粧品は、
日本の化粧品に使用可能→83種類
日本の口紅に使用可能な色素→58種類
と食品に比べて使われる色素の種類が多いです。
化粧品に使用できるタール色素は、医薬品に使用することができるタール色素を定める省令「昭和41年厚生省令第30号」の規定が準用されています。
83種類全て知りたい方は、上のリンク(厚生省のサイトに繋がります)からご覧ください。
危険?発がん性がある?
現在日本で使われている合成着色料(タール色素)は、日本が国として安全であると認めたものです。
ですがなぜ危険性・発がん性が話題になるかというと、
- 1960年代、十数種類の食用タール色素に発がん性などの毒性が指摘され使用禁止になったこと
- 現在日本で認可されている食用タール色素に安全性の懸念がある事例があること
が挙げられます。
日本で使用禁止になった食用タール色素
昭和40年:赤色1号と101号
昭和41年:赤色4号と5号,橙色1号と2号,黄色1号と2号および3号
昭和42年:緑色1号
昭和45年:緑色2号
昭和46年:赤色103号
昭和47年:紫色1号
参考:片山 脩.食用色素の化学,有機合成化学.1974,第3巻,第8号,p.1
食用タール色素の安全性への指摘
一例をご紹介します。
●食用赤色2号
(経緯)
1976年、アメリカで発がん性について「安全性を確認できない」として使用禁止になる。
しかし1978年,1984年に、
FAO(国連食糧農業機関)/WHO(世界保健機関)合同会議で再評価が行われ、
2回とも発がん性は認められなかった。
現在アメリカなど一部の国を除き、日本・カナダ・EUなどで使用が認められている。
内閣府 食品安全委員会では「発がん性はあるのか」という問いに対し、
上記の経緯があり、指定添加物として食品衛生法で使用基準も定められているため、
安全であると回答しています。
参考:内閣府 食品安全委員会 「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A
●食用黄色4号など
(経緯)
2007年、イギリスの医学誌で「飲料水に含まれる6つの合成着色料と保存料」が
児童の行動に影響を与える可能性があると発表される。
<対象となった合成着色料と保存料>
- 食用黄色4号
- 食用黄色5号
- 食用赤色102号
- 食用赤色40号
- カルモイシン(日本では指定外添加物)
- キノリンイエロー(日本では指定外添加物)
- 安息香酸ナトリウム(保存料)
2008年、欧州食品安全機関(EFSA)では、
試験した添加物の混合物が一部のこどもの行動や注意力にわずかに影響を与えるのみとして、
「許容一日摂取量(ADI)を変更する必要はない」とし、
2010年7月20日より、EUでは食品中の合成着色料について、
「この色素は子供の行動と注意力に影響を与える可能性がある」
という表示をすることが義務付けられる。
参考:厚生労働省 食品添加物が児童の多動性に与える影響に関する論文について、内閣府 食品安全委員会 食品安全関係情報詳細
タール色素の複合影響について
合成着色料(タール色素)は国が認めたものとお伝えしましたが、
実は食品添加物を「複数摂取した場合」の影響については、
内閣府の食品安全委員会でも「検討段階」としています。
食品添加物を複数摂取した場合の有害な影響については、現段階では国際的にも、評価手法として確立したものはなく、検討段階にあります。
現時点では、個々の添加物の評価を十分に行うことで、添加物の複合摂取による影響についても実質的な安全性を十分確保することが可能と考えられます。
参考:内閣府 食品安全委員会 「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A
つまりタール色素一つ一つの安全性は認められていますが、
- 複数の色素が使われている製品や、
- 他の添加物と同時に摂取・使用する場合
の安全性ははっきりとは確かめられていない。
現時点では、
一つ一つのタール色素の安全性が高ければ、複合摂取しても安全である。
というのが国の見解です。
タール色素は石油なのか
合成着色料(タール色素)が石油製品からできていると聞くと、
あの臭くてドロッとした石油をお肌に塗りたくってるんじゃないか
と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、
食用・化粧品用色素を製造・販売している紅不二化学工業株式会社のウェブサイトで、
「合成着色料自体には石油成分が検出できない」という解説がされています。
石油製品を分別蒸留すると、ガス・ナフサ・灯油・軽油などに分かれていき、
ナフサを更に分留すると、ベンゼン・トルエン・キシレンなどが取り出せます。
ここまでは石油をただ物質ごとに分けただけなので、石油成分として考えて間違いないです。
色素ごとに使用する原料は異なりますが、
代表的な「ベンゼン」から色素ができるまで追ってみましょう。
ベンゼン+混酸(濃硝酸+濃硫酸)を合成 → ニトロベンゼンができる
それを濃塩酸と合成 → アニリン塩酸塩ができる
それを遊離反応させる → アニリンができる
アニリン+他の物質を合成 → 色素の前駆体もしくは色素ができる
ここで某アニリンメーカーの試験表を調べてみると、
「純度99.0%以上(実測値100%)・ニトロベンゼン含有量0.0001%」となっている。
ニトロベンゼンは石油成分に含まれていないため、
「この時点で石油成分は検出できない」ことになる。
アニリンを更に合成した色素についても、
安全とされる物質の含有量および不純物の規格が厳格に設定されており、
どのような高度な分析装置を用いても石油成分は検出できないはずです。
引用一部行間など改変:よくある質問(安全性・使用基準)紅不二化学工業株式会社
・・・ちょっと難しいですが、
理科の授業の「水(H2O)を水素(H)と酸素(O)に分ける」
という実験を思い出してください。
水、水素、酸素はそれぞれ別のものだよね。
つまり、
化学合成していく中で物質が変わっていき、最終製品の着色料には石油成分が含まれていない
という結果が出ているそうです。
筆者がカルミン&タール色素を避ける理由
以上をまとめると、
合成着色料(タール色素)は、
国が認可している色素で、使用基準も定められている。
コチニール色素(カルミン)は、
アナフィラキシーの注意喚起がされてはいるが、国に認められた色素である。
ということですが、
敏感肌コスメをテーマにブログを運営している以上、
わたくし逸が「なぜカルミン&タール色素を避けているか」についても触れておきます。
※皆さんお一人お一人の考えがあると思いますので、
「一消費者の意見」として参考程度にお読みください。
簡単に言うと、
カルミン→虫が苦手
タール色素→「化粧品」用色素の研究結果が少ない
という理由です。
詳しくお伝えしたいのは合成着色料(タール色素)について。
ここまで読んで頂いて、もしかしたらお気づきの方がいらっしゃるかもしれませんが、
タール色素についての章でお伝えしたほとんどが「“食用”タール色素」についての事例です。
読者の皆さんもいろいろ検索する中で、
「化粧品に関するタール色素の情報」って少ない!
と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
研究とか、事例とかがなかなか出てこない。
わたしは個人的に、
「日本は化粧品の安全性への関心が低い」と感じています。
理由は2つあり、
1つ目は法定色素についてです。
先ほど、
食品に使用できるタール色素は12種類。
化粧品に使用できるタール色素は83種類。
とお伝えしましたが、
なぜ、化粧品の方が使えるものが多いのでしょうか。
食品グレード、化粧品グレードといいますが、
通常肌に使う化粧品グレードの原料は精製度が高く、不純物が除去されていて、
着色料を購入する場合、
同じ赤色2号でも「食品添加物規格」と「医薬化粧品規格」に分かれて販売されています。
ココナッツオイルとかも、
化粧用は食用の2倍近く値段が高かったりする。
化粧品に使える色素が「食品と同じまたは少ない」なら理解できますが、なぜ多いのだろう。
というのが一つの疑問です。
2つ目の理由は、
日本は食品のオーガニック基準(有機JAS)はあるけれど、化粧品のオーガニック基準がないことです。
そのため日本の化粧品会社は自由に有機・オーガニックという言葉を使用でき、
勝手に名乗っても、取り締まる法律がありません。
たとえ1%でも天然成分が入っていたらオーガニックと表記できちゃう。
もちろんオーガニック=安全ではありません。
オーガニック認定で認められた成分で肌トラブルを感じることもあるでしょう。
例えば天然のハーブにかぶれたりする人もいるよね。
ただ、「食品でやっていることをなぜ化粧品でもやらないのか」という疑問があり、
個人的に不満を感じています。
以上2つの理由から、
「日本は化粧品の安全についてあまり関心がないのではないか」と感じてしまい、
国が化粧品にタール色素を使って良いと認めても、その全てを信用できずにいます。
100%疑ってるわけじゃないけど、
83種類?大丈夫?とは思ってる。
※カルミンについては完全にわたしの好みの問題ですが、
集合体恐怖症の方はWikipediaでカルミンを検索すると、
一番最初に画像がバンと出てくるので、お気をつけください・・・。
いかがでしたか。
皆さんの疑問は解決できましたか。
当ブログでは、カルミン&タール色素不使用にこだわり、コスメの情報をお伝えしています。
ご興味があれば、
ぜひ他の記事もご覧になってくださいね。
\カルミン&タール色素不使用関連記事/
最後まで読んでくれてありがとう!
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