以前ギター録音の記事で、
録音するときの音量は、「-24dB〜-12dB程度」を目安にする
とご説明しましたが、
実はわたし、初心者のころに、
- 録る音は大きい方がいい
- 0dBギリギリがベスト
という話を聞き、10年近くそれでDTMしていたんです。
では、なぜ方法を変えたのか。
今回はその理由についてお伝えします。
PreSonusのサイトがきっかけ
結論を言うと、
わたしが使用しているStudio Oneの開発元PreSonus社*のサイトで、
推奨されている設定だから
*2026年1月よりFender社Fender Studio に統合
という理由です。
▼Q&Aのページで、このような解説がされています。
In actuality, the recordings are usually made at around the -24db to -12db level, nowhere near the 0db floor.
This leaves plenty of headroom to mix and work in, without having to worry about pushing the mix to the point of clip.
和訳:実際、録音は通常、0dBからかなり離れた-24dB~-12dB付近のレベルで行われます。
これによって、クリップするほどミックスのレベルを押し上げる心配をせず、ミックス作業を行うための十分なヘッドルームを確保できます。
引用:「Why is my recorded signal too low or quiet?」

つまり、ミックスでクリップしにくいように、-24dB~-12dB辺りで録るってことですね。
「いや、でも信じられない・・・。」

と思うわけですよ。
なぜなら、わたしは2015年ごろからミックスを勉強し始め、
ネット検索や動画で情報収集してきましたが、
「(オーディオ)波形は大きければ大きい方がいい」
「クリップしなきゃいいので大きい音」って意見ばかり目にしましたし、
実際に自分でミックスするときも、
「録音レベルが大きすぎてクリップし続ける」等の悪影響は出ていないんですから。
そのため、
“-24dB~-12dB辺り”って、PreSonusが言ってるだけなんじゃないの?
と疑問に思ったわけです。
そこで今度は、
わたしがひとつ前に使っていた「Protools」の開発元、Avidのサイトを確認してみました。

すると、驚きの真実が明らかになります・・・。
Avidの推奨レベル

引用:「GUIDE TO GAIN STAGING IN AUDIO PRODUCTION」
簡単に言うと、
録音時の入力レベルは、
- 最大レベル:約-6 dB
- 平均レベル:約-18 dB
を推奨*されてました。
Presonusが「-24dB~-12dB」なので、平均すると「-18 dB」。
・・・いや、同じやんっっ!
最大レベルの違いはあれど、
PresonusのAvidもほぼ同じことを言っている。

やはりわたしはずっと間違っていたようです。涙
*実際のAvidのページではdBではなくdBFSと表記。
DAWのデジタルメーターの場合、より適切な表現はAvidの「dBFS」ですが、Presonusと統一させるためdBとしました。
▼参考にした記事
Aim for maximum levels of -6 dBFS as indicated by the Sample Peak meter to prevent peaks from going into the red zone. For average signal levels, aim to keep them around -18 dBFS, as shown on the RMS meter, which corresponds approximately to 0 VU, mirroring the traditional analog metering practices.
和訳:
サンプルピークメーターが示す最大レベル‐6 dBFSを目指し、ピークがレッドゾーンに入るのを防止してください。平均信号レベルについては、RMSメーターに示されているように、約‐18 dBFS に保つことを目指してください。これは約0 VUに相当し、従来のアナログ測光方式を反映しています。
引用:「GUIDE TO GAIN STAGING IN AUDIO PRODUCTION」
メリットは「クリップしにくい」だけ?

確かにミックスでクリップしないのは大事。
でも0dBを超えてないなら、大きい音で録音した方が応用効くんじゃないの?
ミキサーでボリューム上げなきゃいいじゃん。
平均-18dBで録音するメリットって、「クリップしにくい」しかないんでしょうか?

1個だけ?
そこで調べた結果、簡単に言うと、
「アナログモデリング系プラグイン」をより効果的に使うことができる
というメリットもありそうです。
アナログモデリング系プラグインとは、コンプレッサー・EQ・プリアンプなど、
実際に存在するアナログ機器を再現したデジタルプラグインのこと。
▼コンプレッサーの「1176、LA-2A
、Fairchild
」、EQの「Pultec EQP-1A
」などが代表的。

※わたしが持ってるのはUNIVERSAL AUDIOのオーディオIFの付属プラグインなので、多少見た目が違うかもしれません。
その理由は、
多くのアナログモデリング系プラグインが、
アナログ機器の「0 VU」を デジタルの「約-18 dB相当」に設定しているから。
「0 VU」とは、アナログ機器の基準レベルのこと。

アナログの基準「0 VU」≒デジタルの「約-18dB」というのは、先程のAvidの記事にも書かれています*。
For average signal levels, aim to keep them around -18 dBFS, as shown on the RMS meter, which corresponds approximately to 0 VU, mirroring the traditional analog metering practices.
和訳:平均信号レベルについては、RMSメーターに示されているように、約‐18 dBFS に保つことを目指してください。これは約0 VUに相当し、従来のアナログ測光方式を反映しています。
引用:「GUIDE TO GAIN STAGING IN AUDIO PRODUCTION」
*dBFSとdBについて。DAWのデジタルメーターの場合、より適切な表現はAvidの「dBFS」ですが、Presonusと統一させるためこの記事では「dB」を使用しています。
じゃあ、この「アナログの基準「0 VU」≒デジタルの約-18dB」が、
わたしたちのDTM作業にどう関わってくるか。
例えば、ギタートラックにコンプレッサーの「UA 1176」を挿す場合、

- 平均 -18 dBで録音
→ 1176内部では「実機の0 VU付近に相当する入力」
というイメージ。
ですがもし、
- 平均 -6dBで録音(さっきより12dBデカい)
→1176内部では「基準よりかなり大きな入力」なので、
ただコンプレッション量が増えるだけではなく、
・アタック感が変わる
・音がより押しつぶされた感じになる
・音の前後感が変わる
など、「音色そのもの」が変化してしまう可能性があります。
つまり、「平均約-18 dBで録音」しておくことは、
アナログモデリング系プラグインを「実際のアナログ機器を使う感覚に近い状態」で扱うことができる
というメリットがあるといえます。
補足:録音音量、他DAWの見解

録音音量の目安について、今回はわたしが使った経験のあるPresonusとAvidを例に挙げましたが、
他の主要DAWの意見もまとめたので、ご興味がある方は参考にしてください。
| DAW | メーカー名 | 具体的な数値 |
|---|---|---|
| Studio One | PreSonus | 約-24dB~-12 dBを目安 |
| Pro Tools | Avid | 最大 -6 dBFS、平均 -18 dBFS |
| Cubase | Steinberg | 入力レベルはハードウェア側で調整し、クリップを避けることを重視 |
| Logic Pro | Apple | 0 dBを超えないこと、3~6 dB以上のヘッドルームを残すこと |
| Ableton Live | Ableton | クリップを避けることを重視(オーディオIFのレベルが適切(緑)で、トラックが過負荷にならない(赤)ように) |
【参考(すべて公式サイト)】
Steinberg:Cubase Pro ヘルプ「録音レベルと入力」
Apple:Logic Proユーザガイド(厳密には録音の記述ではないが、ミックス前のヘッドルームを3〜6 dB以上確保とのこと)
Ableton:Knowledge Base「Recording Audio」
おさらい
これまでの内容をまとめると、
私たちがDTMで楽曲制作をするとき、録音の目安になるのは、
- 平均音量:約‐18 dB(さらに最大音量:約-6 dBとする意見も)
平均「約‐18 dB」で録音することについて、
最大のメリットは、
- ヘッドルームを確保でき「ミックスでクリップしにくくなる」こと
さらに、
- アナログモデリング系プラグインを「実際のアナログ機器を使う感覚に近い状態」で扱うことができる
というメリットもある。
今回の内容、都度情報を更新されている方にとっては、
正直「当たり前じゃん」「何を今さら」って感じだと思いますが、
ご覧の通り、わたしは驚くほど粘着質なので、笑
このようにネチネチネチネチ細かい根拠をまとめることができ、達成感に満ち溢れています。
今はGPTに聞いて、なんでも分かるありがたい時代ですが、
いつ学んだか分からない古い情報は、時折立ち止まって刷新したいですね!

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